第18章 不器用な男達
「いってぇ~!何すんだよ、ベン!!」
頭を擦りながら、ベックマンを睨む
「お頭(かしら)が俺の言ってる事を理解出来ない様だから、叩けば治るかと思ってな」
冷ややかな目でシャンクスを見下ろす
他の幹部達も、副船長のピリピリしたオーラに押し黙ってしまった
「いやいや、これは重要だぞ!いつ会えるかも解らないのに食い物用意しても腐らせちまうだろ?勿体ないだろーが!」
なおもふざけた声でシャンクスは、ビシッと胸をはってベックマンに告げる
「”シャンクス”、いい加減にしろよ」
ベックマンの言葉に皆、固まってしまった
ベン・ベックマン
副船長である彼は、一味の中でシャンクスと最も長い付き合いだ
少人数の頃からの気心の知れた友人であり、頼りになる右腕である
一味の人数が増えてくると、船長にはそれなりの威厳が必要になってくる、だからいつまでも船長に対して”呼び捨て”では下の奴等に示しがつかない、とベックマン自らが”お頭”と呼び始めた
それに習い、今の幹部達もそう呼ぶことにした
その彼が、あえて ”シャンクス” と…………
「おッ………おお、悪かったよ」
さすがのシャンクスも、彼の変わりように冷や汗が流れる
ふざけすぎたと反省する
どうやらイリスに会えるかもしれないと言う、近頃めったに無い良いニュースに、興奮しすぎていたようだ
シャンクスとベックマン
どちらも沈黙したまま時間だけが過ぎていく
まわりの幹部達も、緊張の面持ちで二人を見てた