第18章 不器用な男達
仲間達の心配と、決意をよそに、船長室ではシャンクスと幹部達が、”新世界”に来るであろうイリスを迎えるため、あれやこれやと話し合いっていた
「イリスは何が好きだった?」
「肉じゃねえの?」
「そりゃルフィだろう」
「酒か?」
「昔は飲んでなかったよな~」
当たり前である………10年前はまだ子供
ルフィと一緒にジュースを飲んでいたのを思い出す
「じゃあ、ジュースかよ~?」
「いやいや、宴にジュースは無ぇよ………」
「だよな~」
ギャハハッと笑いがおこる
「じゃあ何食ってた?」
「???」
思い出せない………
マキノの店で手伝いをしていた姿は浮かぶが、何かを食べているのを見たことがない……ような……
(ルフィは頭と一緒にめし食ってたな)
「あいつ、ルフィとオレらの世話ばかり焼いてたよな~」
「たまに休憩してジュース飲んでたな」
「またジュースかよ!!」
再び笑いに包まれる
「お前ら………食い物考える前にやることがあるだろうが」
副船長、ベン・ベックマンが呆れて口を出す
彼は、他の幹部達とは違い、航路についてシャンクスと話しに来たところ、この会話を耳にした
「おうベン!お前はどう思う?」
ベックマンの話を全く聞かず、シャンクスは会話を続ける
「いや、だからその前にやることが…………」
島から出航して随分たつが、この船は行き先も決まらず、ただ波と風に任せて海を漂っているだけだった
「あッ!そうか!!」
シャンクスはバッと顔を上げ、目を光らせる
やっと分かったか、とベックマンは彼に近づき、航路についての相談をしようとした
航路が決まりさえすれば、後は自由にしてもらって構わなかった
しかしシャンクスは
「イリスはいつこっちに来るんだ?」
やはり話を聞いていない船長に、副船長から拳骨が落ちた