第18章 不器用な男達
「イリスを紹介しろ」と、うるさい奴らには組み手の相手をさせることにした
わしに勝てたら紹介してやる、と言ったら、のこのこ列を成してやって来おった
勿論、容赦なく叩きのめしてやる!
孫娘を守るためとは言え、同胞に拳を向けるのは忍びないのう………
一通り来客をあしらって部屋に戻ると、電伝虫が部屋に鳴り響いている
「ガープ!貴様、何をやっとるんだ!!」
出ると、剣幕のセンゴクがガープを怒鳴りつける
話を聞くと、先ほど組み手をした海兵達が医務室に押し寄せ、入りきらずに溢れかえっているらしい
軍医が敵襲でもあったのかと驚き、大騒ぎになったようだ
「安心せい!ちょっとお灸を据えてやっただけじゃい」
イリスを紹介しろなど10年早いことを身を持って分からせてやったのだと、電伝虫の向こう側でふんぞり返るガープ
「貴様の”ちょっと”は、やり過ぎだ!」
センゴクは手元の報告書を見ながら唸る
軽傷者でも特大たんこぶ、重傷者は全治数ヶ月の骨折だと言う
その他にも、様々な報告が上がってきている
鍛練場の半壊や、重傷海兵の上司からの苦情、医務室からは人手が足りないと直接電伝虫がかかってきた程だ
センゴクは、これから起こる問題も大体想像がつくため、尚更ガープへの怒りが強くなる
人員不足によっての超過勤務による不満の嵐、休暇返上で働く海兵の中には体調を崩す者も出てくるだろう
壊れた施設の修理費に、新たに雇う人員の給料と、金銭面でも頭を悩ませそうだ
「貴様には言いたいことが山程あ………」
「おぉ、すまんが来客じゃ、切るぞ」
ガチャンッ…………ツーツーツー
返事も待たずにガープは電伝虫を切る
センゴクの納めどころのない怒りは、電伝虫に向けられ、受話器は乱暴に切られた
後日、ガープはセンゴクから延々とお説教を聞かされ、始末書を山程書く事となる