第18章 不器用な男達
「あぁ~今日も無かったか~」
落胆するサッチに、何を探していたのかを聞いてみる
大体、分かってはいるけれど……
「手配書だよ、イリスちゃんの手配書!この間のは、エースが持って行っちまっただろ?もう1回、来るのを楽しみにしてんだけどな~」
もう来ねぇのかな~と、大きなあくびをしながら残念がる
「まぁ、そのうち来るだろ!気長に待てよい」
眠そうなサッチを笑顔で励ますマルコは、こみ上げる笑いを必死で押さえていた
慣れない早起きをしてまで、イリスの手配書を手にいれようとするサッチ
その行動を先読みし、更には恋人の写真を誰の目にも触れさせたくない為に、手配書を抜き取るエース
バカバカしくも、微笑ましい早朝の攻防戦を目にしたマルコは、親父に話すネタが出来たなと、新聞を持って白ひげの部屋へと歩いて行った
~海軍本部~
最近、ガープの部屋に客が増えた
軍曹から将校まで、実に幅広い階級の者が些細な用事でガープの部屋を訪れる
ガープは最初、せんべいを食べながら世間話に付き合わせたり、運動不足解消のため組み手をしたりと、対応していたのだが、その目的が分かった時から対応は厳しく変わっていった
訪れる客は全員、独身、彼女無し、の”男”だったのだ
世間話の合間にちょくちょく家族の話題を入れて来ては、イリスの事を聞き出そうとする
組み手中には、どんな風に孫達を鍛えたのか?とか、イリスはどれくらい強いのか、を聞いてくる
これぐらいならまだいい、孫娘にやましい所など無いので正直に話してやる
そのことが、彼女にかけられた手配書の誤解を解くことにも繋がると思ったからだ
しかし、内容はどんどんエスカレートしていき、イリスの好みのタイプや、彼氏はいるのか?などを直接聞いてくる
(コイツらはエースの存在を知らないらしい)
会わせて欲しいと言う者もいたが、そう簡単に会えるものなら、わしが会いたいわい!何せ、可愛い孫達に2年以上会えていないのだから…………