第18章 不器用な男達
~白ひげ海賊団~
朝、日の出と共に目覚める
誰よりも早く起きて、やらなければならない事があるからだ
「よっ!今日もいい天気だな」
早朝の甲板に降り立つ、ニュースクーに小声であいさつをし、いつもの様に新聞を受け取り金を渡す
まわりを気にしながら、一番の目的である手配書に目を通し、イリスの物を抜き出す
いつもの写真、いつもの金額、変わりのない事を喜ぶべきなのか、怒るべきなのか………
(写真変んねぇかな~)
「相変わらず、お前の恋人は美人だねい?」
「うげぇっ!………マ…ルコかぁ~」
突然後ろから覗き込まれ、驚いた拍子に手に持った手配書を握り潰してしまった
(サッチじゃなくて良かった)
皺だらけの手配書を伸ばしながら、声の主を見る
「早起きだな……マルコ!」
おはよう!と笑う弟分に不審な目を向ける
「お前こそ、最近やけに朝が早いんじゃねぇかよい?」
今まで自分の日課だった新聞の受け取りが、いつの間にかエースがこなすようになっていた
別に決められているわけじゃなかったが、突然の行動に疑問が残る
「あぁ、なんか目が覚めちまうんだ…………」
そう言って視線をそらすエースの手には、しわくちゃになったイリスの手配書
ははあ~んっ、と早起きの意味を察したマルコは、まわりを見渡し、エースの耳にこっそりと話しかける
「そろそろサッチの奴が起きて来るころだよい、早いとこそれ持って部屋戻りな………」
新聞は置いてけよ、と爽やかに笑うマルコ
エースは手の中の手配書を更に激しく握りしめ、真っ赤になりながら部屋に戻って行った
それからしばらくして、案の定、サッチがいそいそと甲板に出てきた
「なぁマルコ、新聞ってまだ来てないのか?」
「………もう来てるよい、ホラよ!」
サンキュー、なんて言って上機嫌なサッチだが、彼の望みの物は入ってはいない
マルコは、必死に新聞をめくるサッチを黙って見ていた