第17章 ハートの海賊団にて
一瞬静かになって、バラされた仲間達のわめく声だけが聞こえた後、軽やかな足音と可憐な声が聞こえてきた
「ペンギンさん大丈夫ですか?」
今、直してあげますね!と、俺達に近づき、体のパーツを集めている
いつもは野郎どもに戻してもらう体だが、彼女がしてくれると思うとバラされるのも悪くなかった
他の奴らも同じことを思っているようでデレッとした締まりのない顔をしていた
ああでもない、こうでもないと、一生懸命にパーツを組み立てるイリスさんに和まされるが、ふと船長を見ると、こちらを鬼の形相で睨んでいた………
(オレ……悪くないよな?)
ペンギンはイリスを連れて来ただけで、やましい事など1つもない………むしろ、とばっちりを食らった被害者である
さすがに今回は自分に非はないと、ペンギンは戻った体でイリスを連れ、船長の元へゆく
そして何事もなかったかの様に平然と報告
「船長、イリスさんをお連れしました」
二人で船長の前に立つと、彼の顔がよく見えた
その顔は無表情だが、ペンギンには不機嫌なことがよくわかる
それをさらっと無視して、ペンギンはイリスに船長の隣の席に座るよう促した
しかし、直ぐには座らず、イリスは助けてもらったお礼をローに述べた
「今回は見ず知らずの私達を、ご親切に看病して頂きありがとうございました。船長さんに見つけて頂かなかったら今頃どうなっていたことか………本当にありがとうございました!!」
深々と頭を下げて感謝の気持ちを告げ、そっと顔を上げてローを見ると無表情のままだった
「………………」
「………………」
ローが何も言わない為沈黙が続く
怒っているのか?と思うほどローの無表情は迫力がある、しかし見る人(ペンギン)が見ればその無表情が、不機嫌から嬉しさの照れ隠しに変わったことがわかるのだが、そのことを知らないイリスは、不安になり隣のペンギンに助けを求めた
するとまた、船長の隣に座るよう促された
だが、自分は部外者なので船長の隣になんて申し訳なくて座れない、と丁寧に断り、入り口の末席に向かう
(なんだか船長さん機嫌が悪そう………)
イリスはローに背を向け歩きだす
そんな彼女の周りを、青白いサークルが覆った