第17章 ハートの海賊団にて
(なんで俺まで………)
ペンギンは、とばっちりでバラされたことにため息をつく
間が悪かったとしか言いようがない状況
頭だけでは向きを変えるのも一苦労だが、一緒に来たイリスさんは大丈夫だろうか、と必死に辺りを見回し……
「………?」
ペンギンは、ふと気づく
先ほどまでの喧騒は収まり、バラされた仲間の悲痛な声がその場にこだましていることに
突然、食堂の真ん中に現れたイリス
ほとんどの者はその動きを、目で追うことすら出来なかった
驚きで静まりかえる食堂だが、それだけでは無く、彼女の服装にも目を引かれていた
自分達と同じ簡素なつなぎ服、それを可愛く着こなす姿に思わず目尻が下がる
船長が仲間にしたのか?
着る人によってこんなに代わるとは………
可愛い………
遠巻きにひそひそと囁かれる言葉に、ローは眉間に深いシワをつくる
ペンギンの思った通り、ローはイリスの格好に満足していた
だが、今のこの状況には不満がある
イリスが高速移動したことも、仲間達の注目を集めていることも、自分の方を全く見ずにバラされた奴らを見ていることも、すべてにおいて不満だらけなローだった
「………ッ!」
声をかけようと口を開きイリスを見たときには、彼女はバラされた奴らのもとに駆けよっていた
イリスはサークルから難なく抜け出し、元いた場所を見る
そこにはバラバラになった人達
声も出ないほど驚くが、全く痛くないことを思いだし、ちょっとホッとする
(いきなり、ああいうことするのってヒドイわよね~)
バラバラなペンギン達を見ながら、イリスは食堂の真ん中で思案する
自分が注目を集めている気がするが、そんなことよりバラされた人達を治してあげなくては……と思い、周りと、背中から突き刺さる視線を無視して駆け寄った