第17章 ハートの海賊団にて

可愛いとか、話したいとか、キスしたいとか、抱きたいとか…………

酔いも手伝い、軽くなった口からは普段、船長の前では話さない会話が進んでいく


ローは、仲間の質問に答えながらも、遠くから聞こえるイリスについての話にしっかりと耳をすませ、手を構えたままにしていた


好き勝手に彼女を語る仲間達に苛立つロー

ガタッと乱暴に立ち上がり、黙らせようと能力を発動した時、食堂の入り口からイリスを伴ったペンギンが顔を出した








食堂の扉の前で二人は立ちつくす


「………なんかすみません、イリスさん……」


ペンギンは、先ほどよりも緊張した表情で固まるイリスに仲間の非礼を詫びる
食堂に近づくにつれ、彼らの会話がハッキリ聞こえてくる
イリスについての話題で中は大盛り上がりのようだ


彼らも、本人を前では、けして失礼な態度をとらないが酒の席で少々ハメが外れているのか、男の本能丸出しな会話がなされていた
それを聞いたイリスの顔が緊張と警戒を濃くし、中に入るのが躊躇われる


（船長が知ったら怒るだろうなぁ～）


ペンギンは、ローがまだ自室にいると思っていた

イリスを呼んでから、次は船長であるローを呼びに行く段取りでいたのだが、どうしたことか、ローは早々に食堂にやって来て、一部始終を見聞きしていた


そんなことを知らないペンギンは、


普段は気のイイ奴らなんです
酒のせいでちょっと………
イリスさんに無礼な事はしませんから

等など、イリスに仲間のフォローをした

しながらも、船長が来る前にあいつらを黙らせなければ！と、扉に手をかけ、中へと進む