第16章 空の上 海の中
青白いサークルに包まれたイリスは、何が起きるのかも分からず、自分の周りにできた青白い膜を眺める
ペンギンとシャチは何か言おうとしているが、その声がイリスに届くより速く、彼女の右手は切り落とされてしまった
ゴトンッ
床に落ちた手を見る
自分の腕の先にあるはずの手のひらが、そこにはあった
「きッ……きゃーーーーーいやーーー!痛いっ………いた……ア…レ?」
襲い来るはずの痛みは来ず、血もまったく出ない
「い、痛くない………?」
目をパチクリさせながら自分の右手を撫でる
手の感覚は、ちゃんとある
切り離された手のひらは、まだ自分の思いどうりに動く
顔をあげると、ニヤリッとしたローと、微笑むペンギン&シャチと目があった
「え?あれっえぇ?………どう言う事ですか?」
「言ったろ?悪魔の実だ、俺はオペオペの実を食った能力者だよ」
悪魔の実…………常識はずれな能力と引き替えに海に嫌われ、カナヅチになるその実は、結構なんでもありで、能力者と言われると妙に納得できてしまう
イリスは、痛みが全く無く切り落とされた右手と、首だけのシャチを見て安堵の表情を浮かべた
「なるほど!じゃあシャチさんも痛くなかったんですよね?良かった~」
ピクッと、ローの片眉が跳ねたのをペンギンは見た
ローに背を向け、首だけのシャチに目線を合わせるイリス
「あッ……あぁ全然!全然!いつものことッスよ~」
デレッとしたシャチの声がローの眉間に皺を産み出す
スッと手を伸ばし小さく【ROOM】と呟く
その動作にペンギンだけが気づいていた
(あぁ船長………大人げないッスよ)
また青白いサークルがイリスを包む
さすがに2回目のことで、身構えるイリス
(また斬られるの⁉)
【シャンブルズ】
ローは自分の帽子と、イリスの右手を入れ換えた