第16章 空の上 海の中
暴れるイリスを放り出す
彼女は赤くなった鼻を押さえ、涙目で抗議してきた
「なッ………何するの⁉ひと思いに殺りなさいよ!」
「俺にお前を殺す気はない、お前がどうしても、と頼むなら殺してやるが?」
「ハ……ァ……………?」
「……………」
しばらくの沈黙の後、バタバタと小走りで近づいてくる足音が聞こえてきた
「船長、連れてきましたよ」
「な……なんッスか?………」
近づいて来たのはペンギン、その腕には身体が斬り刻まれた為、行き場を失ったシャチの頭部があった
「頭だけか?」
ペンギンを見てローが普通に話しかける
「他は、船長が言ったとおり、ベポの暇潰しになってます」
「はぁ~今回は結構、時間がかかりそうでぇ…………ブッは、ウヒャヒャヒヒャッ」
突然笑いだしたシャチをギロリッ…と睨む
「ひッ…違うんッス!ベ……ヒャヒャ……が、ベポが体の方をうはッ……そこは止めて~~~」
ペンギンの手の中で笑い転げる頭部
ローは、やれやれと言った顔で二人から距離をとり、イリスに目をやると、信じられない物を見る目で喋る頭部を凝視していた
「クックック、シャチに会わせてやるって言ったろ?」
まだ何が起こっているのか分からないイリスは、目の前で喋る生首がバラバラにされたシャチだと、ようやく気づく
「えっ⁉ええぇぇ?な、なな何で…………?」
何で首だけで喋っているのか
何で皆、普通に話しているのか
何で斬られた彼が、生きているのか
驚きすぎて言葉が続かないイリスは、ローに説明を求めるような視線を向けた
「クックック、お前と同じく悪魔の実の力さ」
彼が【ROOM】と言うと、青白いサークルがイリスを包み込んだ