第16章 空の上 海の中
ベポからの診察結果を聞きながら自身も倒れている男を診た
《顔は赤いのに熱は無く、大量の汗、意識はない》
ローは男の顔を覗きこみ目を開き、光を当てて診察した
閉じられていて気がつかなかったが男の目は赤く、瞳と白目の区別がつかないほどになっていた
「ッ………!ベポッ!今すぐ船に戻れ」
「えっ?どうしたのキャプテン……まだ応急処置もしてないよ?」
いきなりの事に眉をしかめるベポは倒れている男に近づこうとした、しかし
【ROOM】
青白いサークルが周囲を包みこむ
(えっ?バラされる?)
驚くベポを無視して更に……
【シャンブルズ】
ペンギンとベポの位置が入れ替わった
「ッ!…………えっ?」
バラされるものと思い、目を瞑り覚悟を決めた
しかし、ついた所は甲板の上だった
「ベポッ!てめぇは今すぐ風呂場に行け!俺の指示があるまで出てくるな!」
船に向かって叫ぶロー
いつもクールな船長が声を荒げるなど珍しく、驚いた船員達は身を乗り出して小舟を見下ろした
「何してるッ!さっさとベポを連れていけ!あと全員マスクと手袋をしろ!」
ここまで聞いてクルー達は理解した
倒れている男が何らかの感染症に侵されているのだと………
船での感染症は全滅もあり得る危険なものだ
全員船長の指示に従い素早く行動しだした
「えっ?なんで俺だけ?」
仲間に引きずられながらローに向かって問いかける白クマは、自分だけこの場を離れなければならない理由が分からず、バタバタと手足を動かし抵抗する
「お前がクマだからだ」
「熊でスミマセン………」
相変わらずのメンタルの弱さだ
これでもう大人しく連れて行かれるかと思ったが、うなだれながらも自分の主張をしっかりしてきた
「キャプテ~ン!その人助けてあげて~」