第15章 事件は会議室から
『………でも、エースにはもっと会いたい』
明るいガープの声とは対称的な
強い意志がこもる凛とした声が響いた
会いたい会いたい会いたい会いたい
会って抱きしめて、キスして、それから………
2年以上も触れていないし、声も聞いていない
知っているのは手配書の姿だけ
『…っ!…………ぅっ』
懐かしい祖父の声を聞いていたら、エースに置いていかれたころの気持ちが蘇ってきた
感情が高ぶり、ぽろぽろと涙がこぼれるイリス
電伝虫の向こう側で涙する孫娘にかけてやる言葉を見つけられず、ガープはただ眉間に深いシワを作って聞いていた
ガープ以外の将校達も黙って耳を傾けている
部屋の空気が重苦しくなる
泣き続けるイリス、時折聞こえるグレイスの慰めの声
どちらも言葉を発しないまま時間だけが過ぎた
これ以上この娘との会話を盗み聞きをする必要があるのか?という雰囲気が会議室に流れる
『……………ごめん、おじいちゃん…エースに会えたら次はおじいちゃんに会いに行くから』
イリスの、か細く震える声に盗み聞きの罪悪感が増す
「じゃが、エースに会ったらお前は海賊になってしまうんじゃろ?白ひげのところの………」
自分は海兵
海賊を捕まえなくてはならない
会いにきたらそうなってしまうだろう
『エースと一緒にいるためならなっちゃうかも………』
ガープから、はぁ~っとため息がもれる………が、
『でも、ほんとはエースに白ひげ海賊団を辞めてほしい………』
「!!!」
『エースに会ったら今度こそ一緒に海に出たいの』
置いていかれたあの日からやり直したい……そしてずっと一緒いたい……
意外な言葉だった、イリスはエースの意志を尊重して黙って着いていくものかと思っていた