第14章 2つの手配書
「フフフッ!照れるなよ、恋人同士なら当然のことだぜ?」
後ろから抱きつくイゾウには見えないが、エースの顔は今、見たこと無いぐらいに真っ赤になっているのだろう……体温が上がっているのか、こちらまで熱が伝わってくる
イゾウはそんなエースにさらに質問を投げかける
「なぁエース?炎はお前のことだとして、この鳥はどういう意味だと思う?」
左胸の炎の上に舞う4羽の鳥
自由の象徴である鳥は、刺青には珍しくは無い、しかし4羽もいると何か特別な意味を感じる
「4?……4人か!?」
ちょっと落ち着いたエースは、4羽の鳥を見てある事に気づく、彼の中で「4」と言えばこれしかない!
エース、イリス、ルフィ、そしてサボ………この4人のことだろう、子供のころから一緒に育った大切な友であり、義兄弟であり、家族だ…………
今はもういない4人目をイリスがちゃんと覚えていてくれたことを嬉しく思い、心が暖かくなる
「なるほど、そういうことか…」
イゾウもその説明に納得したようだ
そして昔を思い出し、しんみりしているエースの頭をグリグリ撫でている
残るは左腕にある白バラの刺青
花もよくあるモチーフだが………
「なぁエース?この天使ちゃんはバラが好きなのか?」
自分の好きな花を入れる女は多い、この子もそうなのかとエースに聞いてみるが、
「いや、そんな派手な花は好きじゃねぇよ」
昔、イリスに花を贈ろうと、街で花束をかっぱらって来たことがあった、しかし喜んでくれるどころか怒られ泣かれた…………
その時の花がバラだった
そんな事があってから、俺は山で咲いてる花を摘んでイリスに贈るようになった
恥ずかしくてたまにしかやらなかったけど、街の花に比べて地味だけど、すごく喜んでくれたのを覚えている
今なら盗んだ物を贈られても嬉しくないって解る