第14章 2つの手配書
「ところでこの子、いい刺青してるな?」
似合ってるぜ?と、イリスの手配書を見ながらイゾウが話しかけてくる
「この胸元の炎はお前のことだろ?」
左胸にある真っ赤な炎を見て思いつくのは、炎の化身とも言うべき身体を持ったエースしかいない
「さあな~?昔のイリスの身体には、どこにも刺青なんてなかったから、あいつがどんな思いで入れたのかは解んねぇよ」
あいつ何勝手に刺青なんか入れてんだよ!せっかくの綺麗な肌に傷なんかつけて!………まぁ俺も親父のマーク入れてるからお互い様か……
「「「………………………」」」
「…………?どうしたんだよ皆?」
ふと、静かになったまわりの仲間を見れば、頬を赤らめるやつや、視線を反らすやつ、もじもじしたり、ニヤニヤしたり、挙動不審だった
「???」
訳の解らないエースは唯一まともなイゾウに助けを求める
「なぁ?皆どうしたんだ?」
「あぁ…………想像したんじゃねぇの?」
「なにを?」
自分の発言が原因とは思っていないエースに説明をしてやるイゾウ
「お前の知ってるイリスちゃんの身体には刺青なんて無かったんだよな?」
「あぁそうだけど?」
「身体のすみずみ、どこにも無かったんだよな?」
イゾウは、わかったか?と言わんばかりの笑顔をエースに向ける
「…………?…………ッ!!!!」
やっと気づいたエースの顔は、みるみる赤く染まっていった
〈イリスの身体を語れる〉と言うことは、つまりそういう関係にあったことを公言したようなものだ
「いやっ……これは…その…………ッ」
必死に言葉を探すエースだが、まわりの視線に耐えきれず、その場を逃げ出そうとする
しかし、イゾウがそれを許さない
ガシッと後ろから羽交い締めにして、さらに質問を続ける