第14章 2つの手配書
太陽が沈み空に星が輝くころ、モビーディック号では宴が始まっていた
何の宴かと言うと〈エースの弟と恋人が賞金首になった〉事、を祝う宴らしい………要するに皆、騒ぎたいだけである
唯一の関係者であるエースは、宴の中心ではなく船長である白ひげの前に縛られたまま座らされていた
昼間の騒ぎについて、こってり絞られる
もちろん隣にはサッチが同じ格好で座っている
「まったく、しょうがねぇ奴らだ……………」
サッチを睨みつけるエースと、それをニヤニヤ顔で受け流すサッチ
その様子を白ひげと、マルコは黙って見ていた
そこへ、宴の賑わいから離れてイゾウがやって来た
「親父、二人と話したいんだがいいか?」
二つ返事で承諾を得ると、座らされた二人の前に進み出る
「バカだね~二人とも!フーッ」
ニコッと笑顔で、煙草の煙を浴びせられ、ゴホゴホッと咳き込む二人に更なる言葉を投げかける
「サッチよぉ?エースが羨ましいなら素直になりな!エースも自分への怒りをサッチに向けるんじゃないよ?」
「「!!!」」
イゾウの言葉に驚き、目を見開く二人を見て、説明を求める白ひげ
「おいイゾウ、そりゃどういう事だ?」
「何、簡単なことですよ………」
イゾウの説明はこうだった
・サッチは美人の恋人がいるエースが羨ましかった
・もしくは手配書の写真に一目惚れ
・エースは恋人のあんな姿を人目にさらしたくない
・一人故郷に残してきた後悔が自分自身への怒りに変わった
・恋人が、自分の知らない所で危ない目にあってないか、心配で仕方ない
「なっ何でわかるんだよ!」
「気味悪ぃ~」
図星の二人…………
「………相変わらず、よく仲間を観察してるねい?」
「グララララッ!まったくだ!」