第14章 2つの手配書
「おいお~い?こんなに美人でエロい手配書見たことないぜ~?」
もっと近くで見たくないのか?と、遠ざかる仲間に叫んだ瞬間、背後から炎の玉が飛んできた
「うおっ?……ちょっ!なんだぁ~?」
間一髪で直撃をかわしたサッチは、焦げ目のついた髪を払いながらその方向を見ると………
「てめぇ…今すぐその口、開かなくしてやる!!!」
全身に炎をまとい、怒りを露にしたエースが近づいてくる
「ははぁ~ん!大事な恋人は誰の目にも触れさせたくないってか?」
ニヤニヤしたままエースを挑発するサッチ
「おい!サッチ、やめろよい!」
マルコが割って入るも、とまらない
「だいたいなぁ~手配書に載った時点でよぉ~?世界中の男どもに舐め回されるように見られてるんだぜぇ~?」
美人だもんなぁ~?ヒラヒラと手配書を見せつけエースをさらに挑発する
エースは怒りの炎をまとったまま涙目になっていた
イリスがこんな事になっているとは知らなかった……彼女が衆目に晒されるのも耐え難いが、守ってやれなかった自分に腹が立つ
「ったく、いい加減にしろよい!!度が過ぎるぞ!」
「へへっ!わかったよ~」
マルコの声に落ち着くサッチとは対照的に、エースの炎はさらに勢いを増した
「エースも落ち着けよい!」
そんなマルコの声もエースには届かない
「サッチ!てめぇの記憶からイリスを消してやるよ……」
拳を握りしめ、エースはサッチに向かって行く
「!?やろうってのかぁ?」
一度は落ち着いたサッチ、しかしこうも敵意をみせられては黙っていられない
激しい火柱を合図に、二人は船上を縦横無尽に跳びまわる
エースの炎をヒラリとかわして逃げ回るサッチ
二人が通った場所には焼け焦げた跡が残っていった
騒ぎを聞きつけた隊長達が甲板に出揃い、誰が止める?なんて話していると船内からあの人の声が響き渡った
「グララララッ!朝っぱらから元気なこった!バカ息子ども!!」