第14章 2つの手配書
それから、イリスとも打ち解けて仲良くなった
さすがにルフィのように、《航海に連れてけ》とは言ってこないが、別れの時は悲しんでくれた
「この帽子をお前に預ける」
片腕になった男は弟に大切な帽子を渡して《いつか返しに来い》と再会を約束した
「ルフィにばっかりズルいわ!私にも何か………」
イリスは瞳を潤ませ、初めてシャンクスにわがままを言った
「そうだな~?イリスには何がいいかな?」
渡せるような物はもう無い……考えた結果シャンクスは………
イリスに近づき、おデコにキスをした
「ッ!!…………………ッ??」
「「「!!!!!」」」
これには回りの村人も、海賊達も驚き固まる
ルフィも一瞬涙が止まった
大きな眼を更に見開き、顔はゆでダコみたいに真っ赤なイリス
「イリス!俺はもう誰のおデコにもキスしない!お前に俺がおデコにキス出来る権利をやろう!」
うんうん!と、満足そうに頷くシャンクスに、まわりから………
「お頭?なにやってんですか!!!」
「イリスちゃんはまだ子供ですよ?」
「ははぁ~ん!青田買いってやつですね?」
「船長がロリコンだったなんて…………」
「キャー!イリスちゃんが海賊の毒牙に~!!」
「おのれルフィだけではあきたらず、イリスまでもたぶらかしおったか!!」
港にいる人全員からの批難の嵐の中、マキノは静かな声で話す
「まあまあ、皆さん落ち着いて……でも船長さん、私もちょっとやり過ぎだと思うわ………」
困った顔のマキノの言葉が一番グサッときた
「お頭………」
声に振り返ると、あきれた顔をしていたのは副船長のベックマンだった
「言いたいことは色々あるが、時間がない……続きは船の上でだ………」
「えぇ~?もっとゆっくり別れを惜しもうぜ~」
「ほら行くぞ!!」
そうして赤髪海賊団はフーシャ村を離れた