第14章 2つの手配書
「えっ?あと2~3回でいなくなっちゃうの?…………グスッ」
更に泣き出したイリスを慰める
「ほら!そんなに泣いてると、顔がそのまま固まっちまうぜ?」
モテなくなるぞ~?
シャンクスは冗談のつもりでそんな事を言ったが、イリスの答えに驚いた
「いいの!私にはエースがいるから他の人はいらないの!」
「エース?」
初めて聞く名前だった、この村にそんな奴いたか?首をひねりイリスに聞こうとしたが…
「そうよ!私の一番好きな人!いつもケガしてるから私が治してあげるのよ?」
イリスがあまりにもニコニコしながら話すから口をはさめなかった
「あのね~コルボ山におじいちゃんが……あっ……!」
イリスは、ガープにエースの存在を口止めされていたのを思い出した
「あの………赤髪さん……エースの事は内緒にして!」
絶対!誰にもだからね!と念をおす
「うぅ~ん、どうしようかな~?イリスに冷たくされて俺、傷ついちゃったしな~」
わざと大げさに悲しんでみせるシャンクス
「もう~!ごめんなさい!ちゃんと謝るからお願い!」
パチンッと顔の前で手を合わせ、拝むようにお願いされた
本当はとっくに許しているし、エースとやらの事も言うつもりは無かった……ただイリスとの会話が楽しくて、ちょっと意地悪したくなったのだ
「それじゃあ……これからは俺を名前で呼ぶこと!これで許すし、黙っててやるよ?」
いつまでも《赤髪さん》なんて呼ばれかたは落ち着かない
「………シャンクス……さん?」
「違う、《シャンクス》…だ!弟のルフィも呼び捨てなんだ、遠慮すんなよ!」
ニコニコと名前を呼ばれるのを待つシャンクスは、とても海賊には見えなかった
「シャンクス!」
「そう!これからもそれで頼むぜ?」
だっはっはっは、と豪快に笑うシャンクスだった