第14章 2つの手配書
「なあ、イリスは俺が嫌いになったのか?」
さっきからのよそよそしい態度…話しかけても〈うん〉とか〈はい〉で会話は長く続かない
これがルフィだったら、こちらが黙っていても構わずしゃべり続けるし、イリスだって前は似たようなもんだった……だからシャンクスはイリスが自分を嫌いになったのだと思った
困った顔をしたイリスは
「……嫌いじゃない……よ……」
と、か細く答えた
赤髪海賊団の皆は、ガープおじいちゃんから聞いた海賊のどれにも当てはまらない、陽気で楽しい人ばかりで好きだった……………でも………
「でも好きではない……だろ?」
「ッ!……………うぅ…」
シャンクスの言葉にイリスの目から涙がこぼれる
「………違うもん!好きだよ!優しいし面白いし、みんな大好きだもん!!」
「………じゃあどうしてだ?」
イリスの言葉を嬉しく思うが、最近の態度との違いがわからない
「だって………だってルフィを……連れてっちゃうんでしょ?!!」
「?!なんだそりゃぁ?」
うわぁ~んと声をあげて泣き出したイリスは、涙で声を詰まらせながら事の詳細を話だした
ルフィは毎日のように海賊になると言っている、シャンクスに着いていくと……
そして顔にキズを作った時に言ったらしい
《これで俺の本気が伝わった》と………
イリスはそれを勘違いしてシャンクス達が、ルフィを海賊船に乗せて航海に出てしまうと思ったようで、心配と1人残される寂しさが素っ気ない態度になっていたようだ
涙でぐしゃぐしゃになったイリスの顔は、いつものしっかり者のお姉さんでは無く、年相応に見えて可愛かった
「ふっ……はっはっはっ!安心しなイリス!俺の船にはガキは乗せない!」
それに、あと2~3回戻って来たらここを離れる予定だと伝える