第14章 2つの手配書
~キッド海賊団~
とある酒場
「見ろよこれ!いい女じゃねぇか…それにこの金額!仲間にしようぜ!キラー!」
赤い髪を逆立て、派手なコートを羽織った男は隣に向かって叫ぶように話す
「何言ってる、どこにいるかもわからん奴をどうやって仲間にするんだキッド………」
やれやれ……と肩をすくめる男はフルフェイスのマスク姿
まわりの仲間達も個性豊かな出で立ち
彼らは、頭である男の無茶ぶりには慣れているのか、対応をキラーと呼ばれた男に任せている
「そりゃ~………偶然会えたらか……?」
「そうだな、会えたら誘え」
会話終了
彼は思った事をすぐ口に出すタイプで、キラーにいつも正論で言い負かされていた
イリスの手配書を眺めて、いつか会える日を待つキッドだった
~ハートの海賊団~
「キャプテ~ン!これ見て~」
ドスドス足音を響かせて近づいてくる白クマは、見るからに暑苦しい
夏島が近いので気温が高く、船員皆が暑さに耐えていた
「おいベポ……動くな、暑苦しい!」
「暑苦しくてスミマセン………」
船長のトラファルガー・ローはメンタルの弱い白クマを見た
今の気温は毛皮を纏っている彼が一番苦手としているはず、と少しの罪悪感を感じる
その中、わざわざ走って自分に報告に来たのはよほど事か?
彼が差し出した二枚の手配書を見てローはニヤリと笑った
モンキー・D・ルフィ
モンキー・D ・ イリス
「ふっ……仲の良い姉弟だな…」
二人そろって“お尋ね者”とは面白い姉弟だ
「うわぁ~すっげぇ美人っスねぇ~」
「金額もなかなか……それにALIVE ONLY って……」
鼻の下を伸ばすシャチと、手配書を冷静に分析するペンギン
二人ともルフィには興味を示さず、イリスの手配書をガン見していた