第13章 強い人
「ンナッ…………」
開いた口が塞がらない…彼を“おじ様”呼ばわりできるのはこの子ぐらいよ…
「あんたねぇ…この人は………ッ!!!!」
教えなきゃと声を出すがイリスの後ろから彼に凄い目で睨まれた…
「……ん!?おじ様~今、殺気が出てなかった~?」
イリスちゃんが振り返り、彼に向き直ると……
「ああ…今、海から海王類が出ようとしてたからな…」
威嚇だ……と言うと、ポンポンとイリスの頭をなでる
彼の言葉を信じたらしいイリスは、危なかったのね~なんて言って笑ってる
(何これ!何これ!!信じらんない!!)
グレイスは向けられた殺気のことも忘れて目の前の光景に釘付けになる……そして、叫び出したくなるのを必死で抑えてた
(イリスの連れは、俺のことを知ってるようだな……)
ミホークに出会った人の反応は大体決まっている…恐れ…たまに敵意…
そんなのばかりにうんざりして、人に会うのも億劫だった…だから1人で船に乗っていた
そんなミホークにイリスは新鮮だった
久しく感じたことの無かった感情
声を出して笑ったのもいつ以来か…
しかし、思わず過ごせた楽しい時間もグレイスが現れたことで終わりを迎える……