第13章 強い人
「ところでイリスは、なぜ1人で海を渡っていたんだ?」
ミホークと名乗った男は、能力者が舟もなく海上を渡るのは自殺行為だと厳しい口調でイリスをたしなめる
「えっと…1人じゃないの…今私達、遭難寸前で…」
忘れてた……グレイスの事を……
「私…“達”?男か!?」
眉間にシワを寄せこちらを見ている
(ん…?怒ってる!?)
「いや…男ではなく…女でもなく……?」
どう言ったらいいのかな…?体は男だけど心は乙女なんだもんな~
「うぅ~ん?私より女らしい子だよ?」
まだ納得できてない顔してるが…まあいっか
「それより、ミホークのおじさんは1人で何してたの!?」
今度はこっちから質問する
「おじ……さん……」
顔には出てないが、なんだかショックを受けてるみたい…
「あれっ!?ちょっと馴れ馴れしかった?……それじゃあ、おじさま!!ミホークのおじ様!!」
「…………」
まだ渋い顔してる…だめだったかな…
「だめ~?」
「ッ……!」
(まただ…天然なのか…)
イリスのカワイイお願いにかなうものはなく、こちらが折れるしかなかった
「……フッ…好きに呼べ」
「ありがと~おじ様♪」
嬉しくて思わず抱きついてしまった
「ッ………!!」
しかし驚いたのか、おじ様にすぐに引き剥がされてしまった
「無防備にもほどがある……」
それから小一時間お説教を頂きました
また怒られちゃった…