第13章 強い人
男に対する警戒心を持て…とか
淑女としてのたしなみとは…等々
年頃の娘に必要な知識が足りないイリスが心配になり、つい長々と話してしまった…しかし…これではまるで……
(フフッ…ミホークのおじ様ってお父さんみたい……)
まだ続いてるお説教を聞きながら、そんなことを思うイリス
話している本人も同じことを思っているとは知らずに………
「……ン!?」
話が止まった…終わったのかと顔を上げると、おじ様は海に目を凝らしている
「船が近づいてくるな……」
水平線と空の間に小さく見える黒い点……だんだん大きくなるそれを険しい表情でにらむ
しかしイリスは船の形と向かってくる方角で誰が乗ってるのかわかった
(アッ……!また忘れてた……)
グレイスのことを話そうとしてたところからのお説教、話がそれて言い出すことすら忘れていた
「あの……おじ様?あれが私達の船です」
グレイスはずっと待っていた……最初に出た時はすぐに戻って来たのに、今回はもうすぐ1時間になる
(まさか海に落ちてないでしょうね……)
能力者の弱点を思い心配になる
(置いてかれたとか……?)
それは無い…彼女の荷物はここにあるし、第一そんなことが出来る子じゃない……
(見つけた船でトラブってる……?)
………あるかも、一番可能性が高いわ……
そう思ってしまったら体が勝手に船を漕いでいた、イリスの向かった方向に船首を向けて走り出した