第13章 強い人
海に浮く悪魔の実の能力者に驚き、無遠慮に触って悪かった…
もうそんなことはしないから脅えるな…
腕から血が出ているな…
手当てをしてやろう…
イリスは男に言われるまま腕を差しだし、治療してもらった
丁寧に謝ってきた男に警戒心も和らぎ、話しかける
「あの…なんで最初、切りつけてきたんですか?」
私何もしてないですよね!?
少しだけ嫌みっぽくきいてみた
「あれは……最近暇で、腕が鈍っていないか試してみたんだ」
(腕試し~?)
そんなので斬られてはたまらない……
「あれ…私だから避けられたんだと思うよ?
普通の鳥なら真っ二つよ?」
「だろうな…そうなるよう撃った」
なんら悪びれる様子も無くそう言った男に、腕の包帯をチラつかせながら
「腕試しで生き物を傷つけるのって良くないとおもうよ~?」
真新しい包帯、自分が巻いてやったものだ…
大きくはないが、彼女の綺麗な肌に不粋なものをつけてしまった
「ウムッ……すまなかった…」
彼は何度めかの謝罪を口にした
「もう鳥とか傷つけないでね!?」
「ウム…」
(罪もない生き物を斬るのは止めよう…もっと斬るべき輩は山ほどいるしな……)
そんなことを考えてるとは知らないイリスは、やさしい人ね…なんて思いながら、ニコッと笑顔を向けた
「ッ………!!」
小首をかしげたお願い…からの笑顔……
(無意識とは恐ろしい……)
男は何かを抑えるように目の前の少女の頭をポンポン撫でた