第13章 強い人
「あッ…あの……モンキー・D・イリスです、悪魔の実の能力者……です…」
恐怖からか、口が上手くまわらない…たどたどしく話す間も男はじっとイリスをみている
「嘘をつくな…能力者は海に嫌われ泳げないはずだ……」
「ほ…ほんとなんです!!私もビックリしてるんです…!」
必死に説明するが、信じてもらえるかな……
体がだるくなってきた……口を動かすのもつらい…
「貴様が悪魔の実を食べたのはいつだ?」
「は…半年くらい前かな…?」
「その間、海に落ちたことは?」
「ないです!今日が…初めてなんです!第一溺れるってわかってるのにわざわざ試すわけないでしょ!!」
「…………」
早く引き上げて欲しくて、ついつい語気が強まる……怒らせちゃったかな……私のバカ……
「ハッハッハ…それもそうだな…まったくだ…クックック」
何が可笑しかったのか鋭い表情を幾分和らげて男は笑った
近づき、スッと手を出してイリスを舟に引き上げてくれた
イリスは白鳥の姿なので、はた目からはコワモテ無表情なおじさんがは白鳥を抱いている……というなんともシュールな絵面である
「能力者には何度も会ったが溺れないやつは初めてだな…なぜだ!?」
私も不思議だった…なんで?
「さあ…?水鳥だから……かな?」