第13章 強い人
「っ………!」
寸でのところで直撃を避けたが羽先をカスってしまった
(イタイ……)
まだ何もしてないのに…何なの?
血の滲んだ羽先を見て泣きそうになる…が、泣いてる暇もない
畳み掛けるように次の攻撃がきて、2撃目を避けようとした弾みでバランスをを崩してしまった
このままでは海に落ちてしまう…
体制をたてなおす?
それとも【月歩】?
その場合足場はあの舟しかない
攻撃してくる人の舟に乗り込むの?
危ないよね?
どうしよ…?
どうしたらいい!?
ドボンッ!!
考えてるうちに海に落ちてしまった…
実践経験が無いに等しいイリスは、突発的な出来事や、パニックになると判断力が格段に鈍ってしまう
(海!!ヤバい!!……………あれっ?)
海に落ちたイリスは死をも覚悟したが今、自分の体は海に浮いている……?
(悪魔の実を食べた者はカナヅチになるんじゃなかったの!?)
疑問に思いながらも自分は今、鳥形のまま水面に浮かんでいる…………浮かんではいるが、身体に全く力が入らない
「なんでぇ~?どうしよ……助けて下さい~
」
海に対する恐怖感に、たまらず小舟に助けを求めてしまった……すでに情けない涙声である
「鳥がしゃべるとは珍しい……貴様は何者だ?」
小舟の男は剣を収めてこちらを見ている
その目はまるで獲物を狙う鷹のように鋭く、イリスを刺すように見つめてきた