第12章 嫌な再会
海賊はグッと刀に力を込めて、少女に押し当てる
「うぅ…うぇっ…」
泣き出す少女に
「うるせぇ!泣くんじゃねぇよ!!」
また殴られたいのかと脅しをかける
「止めなさい!!何が望みなの!!」
怒りの感情をこの海賊にぶつけたい衝動に駆られるが我慢する…
(人質の少女を助けたい!!)
今まで、身を守る事にしか使ったことの無かった自分の力
イリスに、初めて人を守りたいと言う想いが生まれたのだった
「お前が噂の天使だってことは解っている!そして妙な力を使う事もな!!」
海賊の自分に懸賞金が払われないことは解っている…金が目的じゃない
この女を自分の物にしたい…海で会ったときから忘れられ無かった
「おかしな真似してみろ、こいつがどうなるか…」
ニヤリとイリスをみる
「わかったわよ…」
両手を挙げ大人しくしている
(なんとかあの子を引き剥がさなきゃ…)
近づく男の下卑た視線に吐き気がする…
男の注意が自分に向いた時が勝負…それまでじっと耐えようと心を落ち着かせる…
ビリッ!!
「ッ……!!」
男の刀がイリスの服を切り裂くと、そこには白い肌を彩る炎の刺青があらわれた
「ほほぅ~!大人しい顔して、なかなか派手な彫り物じゃねぇか!!」
気に入ったぜっ!!と、ニヤニヤする顔…
(違う!これはそんなのじゃない!!)
男は更に刀を振るう、イリスのブラウスは、もはや原型を留めないまでに切り裂かれた