第12章 嫌な再会
「国民を守らず何が王様よ!!そんなのただの威張り散らしたおっさんだわ!」
イリスは感情にまかせて怒鳴ってしまった…
「余…余を愚弄するか!?不届き者めが!!捕らえよー!!」
わなわな震えながら真っ赤になって怒っている王様の指示で護衛達がイリスを囲む
だが体格がいいだけの護衛がイリスにかなうはずもなく、あっと言う間に全員その場に倒れこんだ
「貴方…海賊が私を呼んでるって?」
立ち尽くす王様を無視して、駆け込んできた青年に向かって話しかける
青年は若干怯えながら海賊の要求を伝えた
「………」
大きなため息をついたイリスは辺りを見回し
「グレイス!!先に行くからここ、お願いね!!」
言うなり、あっと言う間にその場から姿を消した
「了~解~!」
緊張感の無いグレイスの声はイリスには聞こえ無かった
逃げて来る人達の波に逆らって進むと、そこには街を破壊しながら略奪を続ける海賊の姿があった
(ヒドイ…)
燃える家、人々の悲鳴、傷つき倒れた人、その中で笑う海賊…
全てがイリスにとって初めて見る光景であった
そして身体中を激しい怒りと哀しみが支配する感覚
この感情をどこにぶつけていいのか解らず、頭の中がぐるぐると渦巻いていた
「やっと来たか!モンキー・D・イリス!!」
1人の海賊の声に冷静さを取り戻し対峙する
何となく見覚えがある顔…海上で襲ってきた奴等の誰かだったか!?
その手の中には刃物を突きつけられいる少女、顔には殴られたようなアザがあった
「その子を放しなさい!!」
海賊を睨みながら前に出るが…
「おっと!!それ以上近づくな!」