第12章 嫌な再会
イリスとの会話を邪魔された王様は不機嫌だった…そもそも自分の話しに横から割って入られるなんてことは、今までされたことがない…
本来ならば不敬罪で縛り上げるところだが、その青年が持ってきた情報に免じて不問とする
「ふん!また海賊か…お前達、行くぞ!」
そう言って王様は、青年を無視して彼が来た道とは逆方向に進んで行く
周りの野次馬達も海賊と聞いて一目散に逃げ出した
「ちょっ…ちょっと!待ちなさいよ!!」
国民が人質になっているのに、何もせず歩き出した男の行動にたまらず声をかけた
「おぉ~すまなかった!さぁ!一緒に行こうか麗しの君!!」
振り返った男はイリスが置いて行かれた不満を言ったのだと勘違いし、手を取り自分と来るよう促す
「王族専用シェルターがある、特別に入れてやろう!」
だから自分の物になれ、と目が言っている…
信じられなかった…
「海賊を野放しにしておくの?国民はどうするのよ!!」
王様のくせに何もせず、しかもそれが当然のような態度…全てに腹が立った
「国民共は勝手に逃げるだろうよ、海賊も盗るものが無くなれば帰る…いつものことだ」
それまでシェルターに隠れている…それがこの国の海賊に対する対処法だった
闘う気が無いこの国には軍隊もない、あるのは王様を守る護衛団だけ
街を焼かれても、女子供が拐われても、何もしない国王…
(そんなの…)
「そんなの王様じゃないわ!!」