第12章 嫌な再会
天使に会ってからいきなり消えた元仲間がここで天使の羽を売っている…
これはもう間違いないだろう
一応確認のため、今度は胸に羽根飾りをつけた男に同じことを聞く
「これかい!? 黒髪が可愛い美人さんだよ!!」
確か名前は…
《モンキー・D・イリス》
「・・・・」
それが彼女の名前か……
お頭と呼ばれた男からは、先程までの無気力感が消え失せ、海賊としての残虐なオーラが甦っていた
「おい!!お前ら!ここをやるぞ!!」
仲間達に号令を出して港を襲いだす
嬉々として略奪を繰り広げる仲間を横目に、お頭は街中を歩く
そして逃げ惑う人達の中から、例の羽根飾りを着けた少女を1人捕まえる
「おい!!こいつを殺されたくなければ天使を連れて来なーーー!!」
大声で叫ぶ男と、その手の中で泣く少女…
どうすることも出来ず1人の青年は広場に走る
「たっ大変だー!! 海賊!海賊が街に…!!」
そこはいつもの活気ある広場とは違い、シンと鎮まりかえっていた
「……?」
違和感を感じるも、誰かに聞く余裕もなく羽根飾りを売る店に向かい、視界にイリスをとらえると叫びながら近づく
「大変なんだ!!海賊が天使を渡せと、女の子を人質に…」
無我夢中でまくし立てながらイリスに近より、側にいる人を見て固まる…
「お…王様?」
後ろに強そうな護衛を従えたこの国の王様が自分を見ていた