第12章 嫌な再会
その海賊達はこの島を襲うつもりは無かった
ずいぶん前に海上で今話題の《天使》らしき船を捕まえようとして逃げられてから、何もやる気が起きないでいた
いきなり倒れたクルー達にはその時の記憶はほとんど無いが、船長はイリスの顔をしっかりと見ていた…まさしく天使だった!!
補給と休息で立ち寄ったこの島でも大人しくしているつもりだったが、港に入ってから目につく、白い羽根飾りが気になり島民に話しかけた
「これは《幸せを呼ぶ天使の羽》ですよ!?」
「!!!」
今、この島で人気商品だと言うそれは、まわりにいるほとんどの人が着けていた
イリス達の羽根飾りは、もちろんそんな名前では売っていない
初日の集客力とその後の金持ち達の浪費で街全体の景気が上がったことと、イリス目当ての客がそれに一役かっていた
その為いつしかこう呼ばれるようになった
《幸せを呼ぶ天使の羽》と………
「お頭…まさかここに……」
恐る恐る船長に声をかけるクルー
「ああ…あいつがいるな」
これはチャンスだ!
1度は取り逃がしたが、また出会えるとはなんてことだ…これはもう運命!!
やるしかない!
「お嬢さんそれを売ってるのは、どんな奴だい?」
白い羽根飾りを髪につけた女性に聞くと、
「スーツの似合う、とってもカッコいい男の人ですよ♪」
頬をうっすら染めながら興奮ぎみに答えてくれた彼女はその時の事を思い出してうっとりしていた
(?違ったか?)
「グレゴリアスさんにもう一度会いたいわ~♪」
「!!!」
それは短い間だか、自分達と共に航海をした男(女か…?)の名前だった