第11章 看板娘
グレイスのよみは大当たりし、羽振りの良さそうな人達が店に集まる
一つ一つ吟味し、値段交渉して買ってく人もいれば、値段も気にせずヒョイヒョイ選んで大量に買っていく人もいた
(お金持ちもピンキリね…)
上客は靴で見分けろなんて言葉もあるが、イリスにはまだ10年早い…
しかし、昨日より接客に慣れたイリスは、お客さんとの会話を楽しむ余裕がでてきた
「こちらの商品は……」
「私が着けてる髪飾りもこれなんですよ!?」
「奥様もきっと喜ばれますよ~?」
イリスは営業スマイルをマスターした
『ちょっと!?やるじゃない♪上手くなったわよ~!』
『ありがとう!今日のお客さん上品な方が多いわね』
接客しやすいわ!
客質が良くなり、イリスは満足していた
「……………」
(……気づいて無いのかしら…?)
グレイスは、態度は上品になったがイリスを見る目が昨日の奴等と変わらない客に目をやる
商品を見ながらもイリスを意識した言動(お金持ってますよアピール)、直接的では無いにしろ、言い寄って来ているのは一緒だ…
(本人が気にしなきゃ大丈夫よね…!?)
ちょっと鈍いイリスを心配したが、黙っていることにした
チラチラ視線を向けながら、遠巻きにこっちを見ている昨日の客たちもいることだし、楽しんでいるのに水を差すこともないだろう