第11章 看板娘
二人は互いのベッドに座り向かい合い、文句をいいあう
「だいたいグレイスがこんな服着せるから!!」
「何?私のせいなの!?こんな恥ずかしい格好させといてヒドイわぁ~」
「スーツのどこが恥ずかしいのよ?」
「あと、あの名前出すのやめてよね~!」
「私ばっかり胸とか脚とか出すなんてヒドイわ!」
「あんたのつたない接客はその胸と脚に助けられたのよ?」
ムカッときて思わず枕を投げつける
グレイスも自分の枕を投げつけて応戦
あっと言う間に枕投げ大会に発展し、ボフッバフンッと言う音が部屋に響く
しばらく無言で続けていたらビリッと枕が破れる音がした…どこかに引っかけたのか、中から羽根が散らばる
ふわふわ舞う白い羽根、イリスの物とはまた違う可憐な小さな羽根達はゆっくりと二人を包んだ
「プッ!!あはははは~」
「やだおかしい~!」
羽根だらけになった部屋と二人は笑いあい、どちらともなく仲直りした
「ごめんなさいね?」
「私も嫌なこと言ったわ…」
売り上げ優先でお互いにヒドイことをした、明日からは無理せず、楽しさ優先で頑張りましょうねと話しは落ち着いた…
「それじゃあ明日の分でも作りましょうか!?」
「うん!今羽根出すね~」
バサッと腕を振り羽根をだす
グレイスが必要な分を採っていくのをじっと見つめて
『これが続いたら私、禿げちゃうかもね……!?』
ボソッと呟いたイリスの言葉は、そのまま静かに消えていった