第11章 看板娘
「ええ~そうなんですか~?」
「グレゴリアスさん♪男らしいお名前ですね」
「あの私の名前は……」
「ご一緒にお茶でも…」
その言葉を聞いた他の娘達も、目をキラリと光らせグレイスの元へ集まり、口々に話しかける
『ちょっ!!ちょっとあんた何言ってんのよ!?』
『ほら、もっと男らしく話なさいよ!!グレゴリアスさん♪』
先ほどの仕返し気分でニヤリと呟く…
男名前を出されたグレイスは嫌々ながらも対応、さらに接客、販売と忙しそうなかんじだった
『覚えてなさいよ……!』
笑顔で悪態をつくグレイス
だが、イリスも言い寄られて大変なので助けてあげるゆとりは無い
(めんどくさいわね~)
こちらも男達を曖昧な返事でかわしながら順調に売り上げていき、無事に一日目を終えた
宿へ戻る間も、二人のまわりには熱心に誘い続ける男女が数人いた
「荷物持ちましょうか?」
「これから飲みに行きましょう!?」
「明日もお店ですか?」
丁寧に質問に答えながらも歩くスピードを速める
「これから商品制作があるため、お気持ちだけいただきます」
「明日も広場でお会いしましょうね?」
ひらひらと手を振りグレイスとイリスは宿の前で人だかりを追い払った
部屋に戻るなり二人して
「グレイスのバカ~!」
「イリスちゃんのおバカ~!」
声を揃えて叫んだ