第11章 看板娘
イリスはマキノの店で手伝う事はあったが、来る客は全員村人、子供のころから知ってる顔なじみばかりだった
知らない人相手に上手く接客出きるのか?
グレイスは自分も手伝うから安心してと言うが…やはり心配だった…
そんなこんなで当日を迎え、朝から露店で商品を売る
だが元気のない店員の店には、誰も足を止めて見てくれない…
「イリスちゃ~ん!?どうしたの?笑顔よ!え・が・お♪」
ムニムニ頬っぺたをつままれ、顔の筋肉をほぐされる…
つまむと言うよりつねるに近い力
「いひゃい…痛ッ…」
涙目で頬を擦り、グレイスを睨むがまったく相手にして貰えず
「見てなさい!!こうやるのよ♪」
そう言って、売り子のお手本を見せてくれた
店の前を歩く人に片っ端から声をかけ、相手を褒めたり、世間話や天気の話をして足を止める…
そこから目の前にある商品に話題を代えてさりげなく薦める
(グレイス…プロかしら…?)
感心して見ている間に、どんどん売れていた
「グレイスすごいじゃない!!私なんか必要無いわよ~」
ニコニコ話すイリスにグレイスは、またもパコンと小突いた
「買ってくれるのは安いからよ、これで元を取るにはかなりの量を売らなくちゃ…」
薄利多売…
(だからあんなに沢山作ったのね…)
納得したところに
「ほら、貴女もやってみなさいな!笑顔よ~♪」
促されるままイリスは客引きをしてみた