第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
「あいつはあのままだと、
絶対いつか壊れてしまう。
そうなってしまったら手遅れだ」
ぎゅ、と
ボールペンを握りしめる。
「確かに、大倉はあのままだと
壊れてただの人形になってしまう」
なんとかして、助けたいね
雅紀がそうつぶやくと、
卵焼きをごくっと飲み込んだ亮が
言った
「けど結果的になんも出来てへんやん」
苦しめる、彼の胸の奥のモノ
大倉…、
ーreturn
「…っ?どこ、ここ…」
押し込められたところは、
「…倉庫……?」
使わなくなったマット、
さびたパイプ椅子
バレーのネット。
ボロボロになった参考書
ホコリかぶった国語辞典
真っ暗なのは、
電球が変えられておらず
明かりがつかないから
がしゃん、
むなしく響いた鍵のしまる音
そうして、ハッと気づいた
「閉じ込め…られた…」