第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
『ゆづる、成績表を見せなさい』
父親も母親も、俺の成績を常に気にした。
だからテスト期間も返却日も
すべて把握していた。俺の成績も。
学校を休ませる事など許さなかった。
病気の時は余程のものじゃないと
学校に行けと怒った。
2人は自分のメリットになるものにしか
興味を示すことは無かった
『最近、たるんでるんじゃないのか?
2位に留まってるじゃないか。』
『ちゃんと勉強はしているの?
塾もサボってるんじゃないの?』
「サボってなんかないよ
次は頑張って1位を取るから」
息苦しかった。
部屋にこもってずっと勉強をして、
外で遊ぶ事も許されなかったから。
だけど、友達が息抜きにと遊びに誘ってくれて
友達の家に遊びに行った。
息抜きと言えど勉強するのに変わりはない。
気分転換にいいと思った。
『俺には妹と男の子1人いるんだ
知り合いの子でね。妹と仲いいんだよ』
嬉しそうに話す彼の話の、
その妹がどんな子か気になった。
初めて会った瞬間
僕は惹かれてしまった
似たものを瞬間的に感じたんだ。