第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
あー緊張した
告白されてる所に
出くわして(追いかけてたら)
ちょっと悩んでたみたいだし…
声をかけるなんて失礼だったかな
でも渡さないと生徒会長さんが
物凄く怒るからな…(めちゃくちゃ怖い)
久々、と言っていいのか分からないが
制服を着た。
なんだか少し恥ずかしい。
すれ違う人みんなに見られる。
「ねえ」
俯き歩いていたら、
目の前を立ち塞ぐ足
顔を上げると
すごく可愛い女の子が立っていた。
「あなた、櫻井くんのなんなの」
その視線は明らかに
優しいとか好意を持って
向けられたものではなかった。
こういう時、私はなんと言えば良いのだろう
「寮母、」
と言えば納得しても
ただ不愉快な思いをするんだろうし
「へえ、王子寮の寮母ね…
なんで地味なあんたが…!」
悔しそうに表情をゆがめた
それは、
『嫉妬』を意味していた。