第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
それから何年も経った
やっぱり女はマヤや母さんと同じ。
顔を見りゃサルみたいに叫んで、
キャーキャー寄ってきて
ほんま鬱陶しい。
入寮するなり、
4人に会った。
優しくて明るくて。
こんな仏頂面な俺にも、
笑顔で接してくれた。
ああ、俺、
こいつらの純粋な笑顔、
汚されたくないなって思った
だから考えた。
近づく女どもの相手を、
俺がしてればええねん
そうすればあいつらは
不快な思いをせんで済むやん
傷つくのは、
慣れてる俺だけでええねん、うん
なのになんも変わらへんかった
結局色んな人が、
俺ら5人をいともたやすく傷つけていった
「泣いて助けてって行ったら、
だれか助けてくれたんか?
目の前で女に怯えるやつが、
目の前に女の声に恐怖するやつが
不信に思うやつが嫌悪するやつが、
縮こまって震えてんのに!!!」
誰も、手を差し伸べんかったやんか
汚れてく心
あんたを見た。
初めて、対面した。
俺の言葉に不快そうな顔をしたあの日
「…助けて、欲しかった」
傷つくのに慣れるわけないやん
今やって、女に拒絶されたら
どうすればええか分からへんし、
打たれたらヒリヒリ痛むし
罵倒されたらそれなりに
心がポッキリ折れてまうし
ゆっくり耳を塞いだ。
だから何も聞きたくなかった
もう、何も
君が懸命に
救おうとしてる、
その声すら