第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
母さんに途中まで送ってもらい、
兄ちゃんと一緒に
家に帰った。
ドアを開けるとリビングの明かり
どうやらまだ起きているよう
「…おかえり、2人とも」
「と、父さん…怒ってへんの?」
「亮はともかく、俺は…」
そう切り出すと父さんは
優しく俺とユウマの頭を撫でた。
「大丈夫やから。」
それは、
確かに優しく暖かい言葉
だけど、小さく震えていた唇が
手のひらが、父さんの気持ちを表していた
「ほら。明日も学校やろ。
はよ寝ろ。寝坊しても知らんで」
「「おやすみなさい」」
バタン、
閉じられた扉。
兄ちゃんは静かに2階へ上がった
俺も上がろうとしたとき、
微かだが、
泣き声が聞こえた。
優しくて明るいあの父親が、
タオルで涙を拭っていた
「……っ。」