第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
中へ入るとギラギラした照明に、
キラキラしたドレス着た女の人達。
スーツ着た男の人や、
カッコよくセットしたホストみたいな人
たくさんの人たちが混じって楽しそうに
お酒を飲んでいた。
「亮、こっちやで」
そう言われ奥へと連れられた
そこはいわゆるバックルームで
ロッカーがあり、
椅子や机に荷物が置かれていた。
母さんは近くのパイプ椅子に俺を座らせた
「なんでここまで来たん。
ユウマやあるまいし、亮はこういうとこ
ぜんぜん好きやないやろ。」
母さんのすべてを映し出すような、
こういう街は確かに好きではない
それは父さんだって同じだった
「気づいたらここにおった。」
「お父さんと、喧嘩したん?」
そう親身になって聞いてくる母さんに、
俺はカッとなって苛立ちをぶつけた
「全部…」
「え?」
「全部!母さんのせいや!!!
兄ちゃんたぶらかしてここに連れ出して!
嘘なんかつけへんもん!!!
やって…おれ……」
どこかで求めていた。
母さんに抱きしめてもらえる。
頭を優しく撫でてええ子やなって微笑んで、
あの日みたいに、家族になりたかった
居なくなってから苦しくて、
荒む心の奥で
母さん戻って来てって、願ってた
「りょう…、」
『セリナさん、ちょっと』
「あ、はーい。待ってて」
席を立った母さんが表へと消える。
走ったから腹減ったな。
はよ帰って炒飯食べたい
そんで父さんにごめんなって謝りたい
そればかり考えて、
机に突っ伏し眠りに落ちた。