第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
気づいたらキラキラした、
うるさい街に着いた。
母さんみたいに露出の高い服を着て、
サラリーマンのおじさんに
ひっついてニコニコキャッキャ笑っとる。
かと思えば荒れた兄ちゃん達が
怒鳴りあって喧嘩してる
ここは、俺の知らない街だった。
「また変なとこ来てもうたな」
まだ小学生の俺には、
よく分からない場所だらけ。
来ちゃダメなとこぐらいわかってる。
でも帰り道が分からない。
兄ちゃん、ここに居るんかな
どこにおるんやろ
怖くなってとりあえず歩き出すと
『やだぁ〜、ユウマったら』
「また来てくださいね」
お店から女の人と出てくる兄ちゃん
そして続いて母さんも出てきて
兄ちゃんの頭を優しく撫でた
嬉しそうに笑う兄ちゃん
「…ほんまに手伝ってるんや」
俺だけ置いてけぼり。
「亮!!!」
大きな声で呼ばれて顔を上げる。
呼んだのは母さん。
大きく手を振って笑ってる。
「来てたんやね、気づかへんかったわ
変な人に絡まれんかった?大丈夫?
亮はちっこいからな〜、心配やわ」
「…うん、平気。」
「なんか、あったん?
とりあえず店においで。聞いたる」
そう言われ手を引かれた。