第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
ゾッとした女のその言葉に、
どくどくどく、と
ヤケに激しく鼓動を打つ心臓。
まるであの女と、同じだ
いや、前から知っていた。
異常に縛り付けるところも、
それでいながら身を自由にしてくれた
俺の母親と。
「そんな条件…、」
「いいのよ。だったら、
貴方でなく"彼"を狙うま…」
「それはあかん!!!」
目を開き、そして、
予想通りとニヤリと笑った。
「翔は、純粋で優しくて、
思いやりのあるイイヤツやねん。
お前みたいな汚い女が触れてええやつやない」
それは、俺も同じ事が言えた。
あそこにおるヤツらに
ニコニコして仲良くしてもらう、
そんな事、許されない
「ふざけたこと抜かしとると殴るで。」
流暢な関西弁に反応し、
扉を見ると背丈が小さな男の子がいた
少し不機嫌な顔に、
俺に対してきっと文句があるのだろう。
「おまえ、誰やねん」
「そんな事はどうだってええねん
はよ帰って殴らせろポンコツ野郎」
平然とした顔で俺に近づき、
彼は鎖を解いた。
その鎖を女の方に投げた。
「失せろ」
「ちょ、あんた!!!」
鎖を床に投げ捨て、
女は彼の腕を掴み引き止めた。
「ねーさんに命令されてるから
何もせえへん、有り難く思え?
じゃなきゃ、お前なんかぶち殺すぞ」
そう吐き捨て、
俺を引っ張って部屋から出た。