第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
ーーー錦戸side
縛られた感覚に目を覚ました。
ぼんやり視界がはっきりして
ああ、自分は
監禁されてるんだってわかった
古びた、とかじゃなくて
綺麗な、むしろお金持ちが住む
屋敷みたいなとこの部屋で
ゆっくり開いた扉から現れたその人は、
目を覚ました俺を見て
不気味なくらいに嬉しそうに笑った。
「…なんのつもりや、おまえ」
「亮がいけないのよ。
色んな女にちょっかい出して。
暇つぶしなら私ですればいいのに」
「おまえに関係ないやろ
大体、こうなったんはそもそも、
おまえにあるんやろ。わかってんのか」
女は俺のその言葉に、
少し不快そうな表情を浮かべた。
「なんのこと?」
くいっと、
口角を上げた。
「分からへんならええわ、めんどくさい」
別に話したところで、
この鎖を解くなんてわけない
反論するのも疲れるし、
話すのもだるい
「亮が私が今から言う条件を
受け入れるならここから出してあげる
監禁だってストーカー行為もしないであげる」
「…まあ、聞いたるわ」
女は、また不気味に笑った。
「簡単だわ、私の"物"に、なるのよ?」