第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
夕方4時、
みんなより早めに帰宅して
家事を済ませていると強めに開くドアの音
バタバタと慌てたような足音がして
リビングに入ってきたのは、
櫻井さんだった。
青ざめた顔をして、
ぜーはー息を切らしていた。
「どう…、されましたか」
濡れた手をタオルで拭いて、
フラフラする櫻井さんに駆け寄る。
「亮…、亮見なかった?
ここに帰ってきたりしてない?」
「い、いえ。見かけていません
2階の部屋は掃除して回りましたが、
誰も部屋にはいらっしゃいません…。
錦戸さんがどうかされたんですか」
「ニノが言ってた。屋上に
上がってから亮の姿見かけてないって。
屋上は出入り禁止になってるから、
亮はいつもニノに鍵貸してもらって
出た後、必ずニノの所に
返しに行くらしいんだ。でも来てないって」
泣きそうな櫻井さんが
いつもの笑顔は消えていた
それほど、大変なことが起きてる
「もしかして、昨晩の女の人とか、
関係していたりするんですか…?」
「…、」
「あの人が言っていました
錦戸さんの本命は私なんだって。
それに相葉さんからも聞きました
あの人は錦戸さんが遊んでた1人ですよね」
だったら
続けようとすると、
櫻井さんがフラフラ座り込んだ。
震えている。
櫻井さんは、きっと怖い。
「…生徒会長さんは?」
「ニノは探し回ってる。
相葉さんも聞き回ってて…、
大倉も情報とか集めて探してる」
櫻井さんが、
こんなに混乱してて
私はいったいどうすべき?
心臓が激しく鼓動を打つ。