第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
ーーー亮side
くたびれた顔して眠っていた。
目を開くと目の前に広がる青空
誰もいない屋上で、
余計なことを色々ぐるぐる考えた
時々ひとりになると、
本当に自分は一人になるのではと
恐怖に怯えて泣いてしまう時がある
それは決まってあの
土砂降りの雨の日と同じ日なのだ。
「はぁ…なんやねんホンマ」
ブーブー鳴る携帯を開く
メッセージが入ってた
【好きよ】、
助けて欲しいと素直に言えたら、
俺もこんなことせんでもええんかな
じゃあ、誰に助けてもらう?
寮母のあの女…?
馬鹿らしい
まさか女に助けなんて、
信じる方があほらしすぎる。
「…やっと見つけたわ」
聞こえた声にゾッとした
嫌にこの声に反応し、
睡魔も一瞬にして吹き飛んだ。
目が合うそいつが、
俺を見てニヤリと口角を上げた。
「もう、逃げないでね?」
怪しく笑う女が、
ジャラ、と鎖が擦れる音を響かせ、
その手に絡ませ、
俺の方へ歩み寄ってきていた