第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
ーーーreturn side
初めて行く学校。
だけど別に教室に行くわけじゃなく、
保健室の奥にある、
特別保健室で授業や課題をする
保健室のニオイは落ち着く。
一通り課題が終わり、
気分転換に外に出ようと
保健室を出ると
なんだか騒がしい声が聞こえてきた。
「…喧嘩、かな」
どうやら裏庭からだ
気になって覗いてみると、
ギャルギャルしい女の子たちが
1人の女の子を囲んでいた
なんだか口論してるみたいだ
よく聞こえないけど、
亮、という単語だけは聞き取れた
恐らく錦戸さんの取り巻きだ
よくやるなぁ…。
あんなことしても、
錦戸さんは別に喜ばないのに。
「制裁だね〜、女の子はこえ〜」
「…っぅわあ!?」
突然の声に驚いて振り向くと、
そこには相葉さんが立っていた。
「ふふ、ごめんね、驚かせて
ちゃんに会いに来たら
ここで何か覗いてたから。」
「す、すみません…。」
「アレは亮の取り巻き達だね、
亮が切り捨てた女の子が
未練がましくならないように
制裁してる、って亮から聞いた事ある」
そ、そんなことしてるんだ…
「亮にとっては、
どちらも都合の良い女の子だよね」
「錦戸さんはどうしてあんなこと…」
自分が傷つくだけなのに。
寂しさを余計に感じるだけなのに
いいこと一つもないのに、
どうして、あんなことしてまで…
「本人にしか、分からない…ね。
亮は自分の過去を話したがらないから」
そう言った相葉さんが、
戻ろう、と保健室を指さして歩き出した