第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
ゾッと全身に走る恐怖感。
手に持ったTシャツを、
ぎゅっと力を込めて握りしめる。
震える体とは反対に、
「不法、侵入です」
必死に声を絞り出して、
吐き出された言葉
彼女はイラつくように、
眉間にシワを寄せて睨んできた
「こんな女、亮が好きになるわけない
亮の本命はこの私に決まってるわ」
まるで無理矢理、納得してるようで
それなのに、
彼女は近づいてきて
「あんた、邪魔なのよ」
そう言って、首に手を向けた。
それは紛れもなく、
私に殺意が向けられていた
イヤな汗が出る。
かけられた腕を握る、
必死の抵抗だ
なのに片方の手で振り払われる。
だんだん苦しくなって、
「…ぅっ……」
嗚咽が漏れて、
ああ、終わるのかって
思った時だった。
バンッ、
「てめぇなにやってんのか、
分かったうえでした行為なら
ぶっ潰すぞ。この手を離せ」
生徒会長さんが駆けつけて、
彼女が手を離し、
生徒会長さんが突き飛ばした。
「…っ、」
力が抜けて座り込む
いつもの生徒会長さんとは違い、
心配そうにしゃがむ
「…大丈夫ですか。
なんで、あんたがこんな事に」
私だって知りたい
錦戸さんに向けられた、
異常なる好意が
歪んで歪ませ、
周りに敵意むき出しで。
でも、怖くて震えていた
「…っ怖かった…」
ぎゅ、と抱きついていた