第4章 Episodes.錦戸:女好きにも理由がある
廊下を歩いてると、
目の前から翔と寮母の姿。
「放課後に出歩いてるやなんて、
翔にしちゃ珍しいやん、どーしたん」
「どうしたじゃないだろ
また女関係でやらかしたんじゃないか」
遠くからバンッ、と音がする。
知らないふりしてヘラヘラ笑った。
距離を取って立つ寮母は、
ただ大人しくしていた
「なんやねん、バレてたんかぁ」
「いい加減な遊びはやめなよ
ただでさえ、目をつけられてんだろ?」
「あー…まぁ、な」
知られたくない事実だが、
最近になって学校の敷地外に出ると
よく後をつけられている
最初は敷地外で済んでいたが、
近頃は敷地内でもあとをつけられる。
いわゆるストーカー。
「ほら帰るぞ、外も暗いし」
「全く~、心配症やな~
今日ぐらいは帰ったるわ」
寮母さんは少し怯えていた。
へら、と笑ったが怖がった。
伸ばしかけた手に気づいて
そっとゆっくり下ろした
馬鹿やな、俺。
何故かコイツを、
信じたいやなんて思ってる。
裏切りしか待ってへんのにな