第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
心を押しつぶしてまで、
周りに気遣うのは、果たして幸せだろうか
「僕はずっと泣きたかった
母さんが居なくなって辛かった
寂しいよって言いたかった。
叫びたかったんだ…っ、
それなのに父さんは笑わなくなった
そーたは明るく話す事もなくなった
凄く怖かった。また失うんだって…」
どうしようもない家の中、
きっと1人で震えて泣いていたのだろう
誰にも気づかれず、
気づかないように、平気だと笑って誤魔化して
「僕は逃げてしまった
もうこれ以上、苦しみたくなかった
でも、ちゃんと言おうと思う
思ってた事や感じてた事
怖いけどそれが正しいと思うから」
「はい、それがいいと思います
気持ちは伝えなきゃ分かりませんから」
あの日の私も、
心に浮かべた気持ちを伝えていたら
今の状況は変わっただろうか
大して、変わらなかっただろう
あの男が、いる限りは。